コンティアさんの挑戦 ~研修後インタビューより~

コンティア・チアブさん(2024年国際研修参加者・カンボジア)

シェア=国際保健協力市民の会

研修で学んだこと

異なる国の人たちと一緒に研修に参加するのは初めての経験でした。
多様な人たちが集まれば、それだけ多様な意見があり、参加型アプローチ
はそれを引き出すことができるのだと分かりました。

帰国後、私が支援している行政機関「女性と子どものためのコミューン(最小単位の自治体)
委員会」(CCWC)のメンバーたちが、お互いの考えを話し合えるような
機会をつくりたいと思いました。

実際にやってみた!

プレアビヒア州サンコム・トマイ郡で、CCWCの活動の振り返りと次年度
の予算計画を立てる会合で、離乳食づくり教室など、子どもの健康を促進
するための活動のキーマンとなるコミューン長とコミューンクラーク
(事務局長)を対象に、リーダーシップ研修を行いました。

国際研修の初めにみんなでルールを決めたように、この研修ではまず、参加
者が心がけることについて話し合いました。「意見をよく聞く。演説をしない」
「フィードバックを受ける」などの意見が出て、それらはコミューンの
リーダーとして住民の声を聞くためにも重要だということが理解されました。

役職の高い人たちは普通、自分たちの活動に批判的なフィードバックを
受けたくないものですが、CCWCの計画について、他の担当者※の意見も取
り入れることが決まりました。
※コミューン社会福祉活動の担当者Commune Social Service Assistant

思いがけない成果

新たな活動地チャエウ郡とチェイ郡で、CCWCの責任意識やオーナーシップを
高めるワークショップを行いました。
「母親と子どもの健康について、コミューンの中で重要な人は誰か」を探る
ため、まずはいろんな関係者をカードに書き出し、参加者がそれぞれの役に
なって、関わる人の所にひもを順番に回していくロールプレイをしました。

それによって、例えばお寺の僧侶は重要な役割として挙がったのに、ひもが
一度も来なくて、「なぜだろう?」と話し合ったりしました。参加者どうし、
お互いの思っていることがよく理解できました。他にも、村保健支援ボラン
ティアは、コミューン長たちからは「何にもしていない」と思われがちだっ
たのが、実際には乳幼児の栄養に詳しく、お母さんたちの事情もよく分かっ
ているということも話し合いました。

さらに、コミューン長がよく遅れてくることも話題にあがり、「重要な会合
だから時間に間に合うように出席しなくてはね」ということも提案されまし
た。

このワークショップでは嬉しかったことがあります。
以前から支援していた地域のCCWCメンバーを招き、健康促進の活動がうま
くいった事例を紹介してくれるよう頼みました。どの事例にするかは私は
指示をせずに彼らに任せたところ、驚いたことに自分たちであれにするか、
これにするかと話し合いをもち、グループとしてきちんとまとめられた事
例が紹介されたのです。私のサポート無しで!

自分自身の変化

正直言うと、国際研修からの帰国後、なかなか自分の同僚たちに学んだこ
とをシェアする時間が取れなかったのです。でも、CCWCの研修に、同僚た
ちも一緒に参加してもらうことで、国際研修で学んだことや活動計画を実
践して見せることができました。同僚からは、私が何か指示をするときに、
以前のように命令口調になったり、ダメ出しをしたりすることなく、丁寧
に「聞く」姿勢を取るようになった、と言われました。自分でも変わった
と感じています。

元々のアイデアは国際研修で学んだり、NGOの関係者から教わったこと
ですが、実際に自分で実践してみて、これからますます自分のものになって
いくと思います。

聞き役&文責:大熊