元研修生ニュース:スターリンさん(インド)

(写真提供:スターリンさん、少数民族・イルラの子どもたち)
社会開発の統計をみると、タミルナドゥ州はインド国内でも優良です。
しかし州内をくまなくみると、
開発から取り残された人たちがいることに気づきます。
山間地に暮らす少数民族もそうです。
スターリンさんは2000年頃から、少数民族の人権を守る活動をしてきました。
土地・住宅、安全な水、教育、生計、健康など、
様ざまな課題に取り組んでいます。
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2022年、タミルナドゥ州政府は新たな保健政策を打ち出しました。
行政、学術・研究機関、NGOや住民グループを含む市民社会など、
様ざまなセクターが集まって、
それぞれの視点から地域保健システムの問題を出し合い、
協力して解決策を練る「保健総会」です。
スターリンさんは保健総会の構想をきいたとき、
素晴らしい政策だと感激しました。
しかし、ことは彼が期待したようには進みませんでした。
総会での発言のチャンスを保健医療従事者が独占してしまい、
市民の声がほとんど聞かれなかったのです。
とりわけ少数民族の人たちの声はかき消されてしまいました。
そういう状況でも、いくつもの解決策が合意されたのですが、
実施されないままのものも少なくありません。
「どうにかして保健総会を実効性のあるものにしたい!」
2024年3月からスターリンさんと同僚たちは
タイの元研修生と4回にわたりオンラインで交流や議論をしてきました。
なぜなら、保健総会は2008年にタイで始まったモデルに倣ったものだから。
先行するタイの先輩たちから学ぼうとしたのです。
2025年1月、スターリンさんたちそれまでの話し合いを振り返り、
タイとタミルナドゥで大きく違うのは、
保健総会に対する行政の姿勢だと気づきました。
スターリンさんたちはこれまでの経験から、
エビデンス(証拠)を集めて提出すれば行政は問題を認識し、
改めてくれると信じています。
そして少数民族の人権問題にたずさわる他県のNGOにも声をかけ、
次のような調査活動を行うことにしました。
●まずは、保健総会の公式ガイドラインを研究し、
ガイドラインと実際の運営では何がどう違っているのかを特定する。
●次に、違いを生じさせている要因を分析する。
例えば、関係者間のコミュニケーションがうまくいっていないとか、
実行委員会のコーディネーション能力が不足しているとか。
3月1日、クリシュナギリと近隣の6つの県で活動する
NGOワーカー11名が集まり、話し合いを始めました。
職員 髙田
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次週は、タミルナドゥ州ティルヴァンナーマライ県で活動する
アロキア・ダスさん(1983年国際研修参加)をご紹介します。