ミャンマー:攻撃されてもあきらめない女性たち(プログレッシブ・ボイスのウェブ記事から)

「3月8日、世界で国際女性デーが祝われるなか、ミャンマー各地では女性や少女が相変わらず、軍政が市民に対して繰り広げるテロ戦争と、その暴力を終わらせるために国際社会がまったく何もしないことの恐ろしい代償を払っていた」

ミャンマーの政策提言団体プログレッシブ・ボイスのウェブ配信記事は、こんな文章から始まります。
メコン・ウォッチによる日本語訳(下記)を、ぜひご一読ください。

★原文 Progressive Voice Weekly Highlight, "Women Under Attack but Undeterred," March 15, 2024:

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攻撃されてもあきらめない女性たち
プログレッシブ・ボイス ウィークリー・ハイライト
2024年3月15日
★メコン・ウォッチのサイトからも読めます→http://www.mekongwatch.org/resource/news/20240329_01.html

3月8日、世界で国際女性デーが祝われるなか、ミャンマー各地では女性や少女が相変わらず、軍政が市民に対して繰り広げるテロ戦争と、その暴力を終わらせるために国際社会がまったく何もしないことの恐ろしい代償を払っていた(1)。それでも、ミャンマーの女性は「春の革命」の舵を取って(2)おり、軍政に抵抗し、ミソジニー(訳者注:女性・女性らしさに対する嫌悪や蔑視)と家父長制を解体し、包摂的で平和的な連邦民主制国家ミャンマーを確立させるために命や生活を捧げ、犠牲にしている。貴重な努力を続けるミャンマーの女性を真に支援するには、国際社会は軍政を終わらせるために速やかに明確な行動をとり、軍政にその犯罪の責任を取らせ、すべてのミャンマーの人のために正義を追求するべきである。

違法な未遂クーデター以降、女性は軍政が国の全域で行なう恐怖作戦によってその恐ろしい暴力に苦しんできた。2021年2月から2024年2月までに、軍政は少なくとも810人の女性を殺した(3)。これには大胆な政治活動家だったノーブル・エイ(4)も含まれる。また少なくとも5,416人の女性を逮捕し(5)、国際女性デーにも4,000人近くが拘束されたまま(6)だった。軍政は拘束下にある女性の政治囚に対して集団レイプ、殴打、言葉による虐待などを通じて組織的に性暴力を加える(7)。

軍政による拘束のほかにも、女性は軍政によるテロ戦争の矢面に立っている。軍政の兵士は地上戦の際に女性に対してレイプや拷問を行ない、殺害もする(8)。さらに、軍政によって病院などが頻繁に攻撃(9)されるため、多数の妊娠した女性が避難中に出産を余儀なくされて(10)いる。妊娠中に避難を強いられた女性たちは、病院から遠いところに隠れ、軍政による攻撃を警戒しなければならない場合が多いため、必要な栄養や休息や治療を得ることができない(11)。

この三年間で、軍政はミャンマーにおける女性の権利の進展を数十年分後退させ(12)、女性の置かれる状況を暗黒時代に引き戻し、女性がすでに日々直面している非常に困難な苦闘を悪化させた。もっとも最近の懸念事項としては、軍政が開始した徴兵制が女性や少女に特に重大な影響を及ぼす(13)ことがある。そのような影響には、徴兵された女性や避難を余儀なくされた女性が残忍な性暴力や搾取にさらされることが含まれる。それだけでなく、「男性の多くが徴兵されれば、残された女性が家事や家族の世話をしなければならなく(14)なり…伝統的なジェンダーロールや固定観念が強化される」。

同様に、ミャンマー軍による少数民族集団に対する攻撃も、特に女性や少女に恐ろしい影響を及ぼし続けている。軍は数十年前から、ロヒンギャを含む少数民族の女性に対する武器としてレイプを用いてきた(15)。国連は2018年に、武力紛争中に性暴力を行なっている「確実な疑いがある」としてミャンマー軍をブラックリストに載せた(16)。今日、軍はロヒンギャの迫害を続けており、いまだに何千人ものロヒンギャが船で避難を余儀なくされている。そのうち65パーセント(17)が女性と子供である。海を越えて逃げる際には、ロヒンギャの「女性や少女は人身売買業者や乗員からレイプ、性的搾取、その他の残忍な性暴力を受ける危険が特に高い」

それでも、軍政の恐怖作戦にもめげず、ミャンマーの女性は春の革命の先頭にしっかりと立っている。近年、女性は地域の指導者や政治的指導者になることが増え(18)、意思決定の全レベルでの女性の参入が拡大した。女性は全国規模の抗議行動や最前線にいる人道支援団体のほか、軍政に抵抗する武装勢力の部隊を率いて(19)もいる。カレンニー人権グループ(20)はこう述べる。「未遂クーデター以降、女性はその手腕や能力を損なっていた固定観念的なジェンダー規範に異議を唱えることで変化の先頭に立ってきた。…女性は、軍による支配だけでなく家父長制からも解き放たれた将来のビルマを思い描くための力も献身も失っていない」

ミャンマーの女性を真に支援するには、国際社会は国際犯罪を犯している違法軍政の責任を追及するために直ちに具体的な行動をとらなければならない。これはミャンマーの危機の国際刑事裁判所への付託または刑事訴追を行なう仕組みの創設を通じて行うべきである。同様に重要なのが、草の根レベルでは、軍の不処罰が数十年間続いたことから性とジェンダーに基づく暴力(SGBV)が広範に起きており、無数の女性が正当な裁きを受けることができないことである。家父長制やミソジニーを終わらせるための若い世代による努力も行なわれている現在、春の革命はこうした草の根レベルでの不処罰を終わらせるかつてない好機となっている。しかしこれを実現するには、女性蔑視的な軍政の責任が追及され、ミャンマー全土で女性に対するSGBVや差別を終わらせるのに欠くことのできない前例となる必要がある。

さらに、国際社会は被害者中心アプローチを通じて、軍による犯罪のすべての犠牲者やサバイバーのために公正な裁きや救済策や補償をより強く要求するべきである。同時に国際社会はミャンマーの女性—人権活動家や人権侵害の犠牲者やサバイバー、最前線で軍政と戦う勢力、暫定的な連邦の団体や民族統治機構にいる政治指導者など—への支援を緊急に拡大するべきである。

結局のところ、ミャンマーの女性が平和で包摂的かつ民主的な社会を築くためのたゆみない努力を続けるなか、国際社会は軍政に真に終止符を打ち、国際法のもとでその責任を追及するための迅速で具体的な行動を通じてその努力を補うべきである。ビルマ女性連盟(21)は、今こそ誰もが「家父長制的な考え方や軍政を長引かせる言い訳に抵抗する」べきであると述べる。「ジェンダー間の平等と公正な社会のために団結して戦おう」

注1:1988年の民主化蜂起の1年後、旧軍政が突然国名をビルマからミャンマーに変えた。プログレッシブ・ボイスは、国民の大半がミャンマーを使っていることを認めて「ミャンマー」を使用している。しかし、それがすべての民族を含むという嘘と、かつての国家平和発展評議会が人びとの同意なしに「ビルマ」ではなく「ミャンマー」の使用を強いたという歴史的過程は認知され、忘れられることはない。このため、特定の状況下では「ビルマ」が使用される。

(翻訳・文責:メコン・ウォッチ)

1 https://mcusercontent.com/6819ae24e30bd9a9db0322d69/files/2d6ce177-f41a-6131-0d56-2d8b3dee4625/_FACTSHEET_The_situation_of_women_of_Myanmar.pdf
2 https://progressivevoicemyanmar.org/2023/12/11/women-at-forefront-of-peoples-revolution/
3 https://progressivevoicemyanmar.org/2024/03/01/women-subjected-to-sexual-violence-during-the-spring-revolution-under-the-military-coup/
4 https://www.rfa.org/english/news/myanmar/waw-prisoners-killed-02162024052036.html
5 https://progressivevoicemyanmar.org/2024/03/01/women-subjected-to-sexual-violence-during-the-spring-revolution-under-the-military-coup/
6 https://www.irrawaddy.com/news/burma/in-myanmar-thousands-of-female-political-prisoners-spend-intl-womens-day-behind-bars.html
7 https://progressivevoicemyanmar.org/2024/03/01/women-subjected-to-sexual-violence-during-the-spring-revolution-under-the-military-coup/
8 https://burmesewomensunion.org/wp-content/uploads/2023/06/Sexual-Violence-Against-Women-under-the-Political-Instability-ENG.pdf
9 https://www.thinkglobalhealth.org/article/myanmar-health-care-has-become-battleground
10 https://www.straitstimes.com/asia/se-asia/pregnant-women-in-war-torn-myanmar-face-perilous-childbirth
11 https://www.straitstimes.com/asia/se-asia/pregnant-women-in-war-torn-myanmar-face-perilous-childbirth
12 https://myanmar-now.org/en/news/advocates-explain-how-progress-in-womens-rights-has-reversed-in-myanmar/
13 https://progressivevoicemyanmar.org/2024/03/08/public-statement-womens-organizations-condemn-juntas-forced-conscription-law-in-myanmar/
14 https://progressivevoicemyanmar.org/2024/03/08/public-statement-womens-organizations-condemn-juntas-forced-conscription-law-in-myanmar/
15 https://ap.ohchr.org/documents/dpage_e.aspx?si=A/HRC/42/50
16 https://www.un.org/sexualviolenceinconflict/wp-content/uploads/report/s-2018-250/SG-REPORT-2017-CRSV-SPREAD.pdf
17 https://mcusercontent.com/6819ae24e30bd9a9db0322d69/files/8cc673ec-3a91-b2d8-7063-acafb88046f4/_BRIEFING_PAPER_The_Rohingya_boat_crisis__Recent_developments_and_key_contributing_factors_in_South_and_Southeast_Asia.pdf
18 https://karenwomen.org/2024/03/08/kwo-message-on-international-womens-day/
19 https://progressivevoicemyanmar.org/2023/12/11/women-at-forefront-of-peoples-revolution/
20 https://progressivevoicemyanmar.org/2024/03/08/on-international-womens-day-the-karenni-human-rights-group-calls-for-recognition-and-support-of-womens-leadership/
21 https://www.facebook.com/wlbpower/videos/210716115466677

(翻訳・文責 メコン・ウォッチ)
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職員 清水