インド出張記② タミルナドゥ州の漁村の今
【写真】漁師が使う舟。数家族で一隻を所有する。
タミルナドゥ州チェンナイ市から南へ約60km、
世界遺産のマハーバリプラムの建造物群がある地域の漁村に行きました。
この村の砂浜は、昔と比べて60フィート(18m)も後退し、
波が民家のすぐそばまで迫るようになりました。
そこで半年前から政府が5つの突堤(とってい)をつくり始めました。
漁師さんたちの説明によると、
突堤は、波による砂の動きを変え、砂浜を維持・回復させるのだそう。
最後の一つは完成間近というところですが、
すでに突堤の効果が現れており、とりあえず民家が波でさらわれる心配はなくなりました。
けれど、この村は別の理由で移転を迫られています。
2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震。
州内の150以上の村が津波の被害を受け、多くの人が犠牲になりました。
州政府は海岸から一定の距離に所在する村々を移転させることにしました。
この村もその一つ。
しかし政府が提示した移転先は海から遠く、漁に出るにはあまりに不便です。
そのため村の人たちは、海から遠すぎず、けれど災害の心配のない土地を自分たちで探し出し、
そこへの移転を認めるよう、政府と交渉中です。
周辺の45の村と連帯して土地の権利と居住の権利を求める運動をしています。
職員 髙田