インド出張記① イルラとダリット、生計向上を目指して

インド出張から戻って、もうすぐひと月が経ちます。

他の仕事でバタバタしていましたが、ようやくひと区切りついたので、

出張中に撮った写真の整理を始めました。

この写真はタミルナドゥ州クリシュナギリ郡で撮ったもの。

宿泊所から10分ちょっとでたどり着く岩山の上からの展望です。

 

この地域では、2019年の国際研修に参加したスターリンさんが活動しています。

スターリンさんは2002年から、山あいに暮らす少数民族・イルラの人たちによる

権利獲得や生活改善の活動を支えてきました。

今年7月、イルラとダリット※の人たち150人が共同で食品加工販売会社を立ち上げました。

※カースト制度の外に置かれた人たち。サンスクリット語で「砕かれた」という意味。

 

これまでイルラとダリットの間に交流はありませんでした。

例外だったのは、イルラの若者リーダー・シヴァラジさん。

 

シヴァラジさんから、イルラの有志が会社をつくろうとしていると聞いたダリットの人たちは、

それに加えてほしいと言いました。

シヴァラジさんはそのことをスターリンさんやイルラの仲間に伝え、議論を重ねました。

 

「ずっと他のグループと関わらずに暮らしてきた。

にわかに生活習慣やアイデンティティの異なる人と一緒に活動できない」と言う人たちに対し、

シヴァラジさんとスターリンさんは

「イルラもダリットも差別や偏見に遭い、貧困に苦しんでいる。

現状を変えるため、同じ境遇にある者同士、力を合わせていくべきだ」と説得して、

一緒に活動してみることになりました。

 

イルラは森でタマリンド、アムラ※、マスタード、はちみつなどを採集し、

ダリットは畑でひえなどを育てます。

それぞれの産物を持ち寄って、一緒に加工や梱包の作業を行います。

※ピンポン玉くらいの緑色の果実。ポリフェノールを多く含み、若返りの果実ともいわれる。

 ピクルス、砂糖漬け、ジャムにして食したり、香辛料と混ぜ合わせて調味料として使う。

 

写真は、加工センターの壁に描かれた、イルラの森での暮らし。

左の写真は、はちみつ採集の前に、神に祈りをささげる様子。

中央は、崖に上ってはちみつを採集する様子。煙ではちをおとなしくさせます。

右の写真は、伝統的な儀式の様子。

 

この会社でつくった100%純粋はちみつを、AHIへのお土産として買って帰ってきました。

職員 髙田