年のはじめに大きな宿題

明けましておめでとうございます。新年をいかが迎えられたでしょうか。

私はちょっと遠出をして、山口県の東の端にある周防(すおう)大島へ行きました。行くまでは知らなかったのですが、ここは40年ほど前に亡くなった民俗学者宮本常一(みやもとつねいち)の出身地。町の図書館の建物半分が記念館になっています。宮本は、日本各地を回り、その土地に伝わる話や、生活や生産がどのように行われているかを聞き取り、土地に根付く人びとの知恵を重視しました。宮本が晩年、故郷で立ちあげた周防大島郷土大学は今も続いています。

その第1回にあたっての開講の辞の自筆メモが残っています。その1行目「郷土にいて、郷土を知り、広い社会を見ていくための教養を身につける」とあります。これを見たとき私は大げさに言えば頭をガーンと打たれたような気がしたのです。足元の地域社会をしっかり見てしっかりとらえることによって、他のまだ見知らぬ多様な地での人びとの暮らしや地域社会の営みも理解する素地が持てる。広い社会を見るための素地を自分の中に養わねばならない。それには必ずしも国際理解でもグローバル教育でもなくてよいのだ・・・一人ひとりの日常や足元に本質があるのではないか、、、という問いかけと思われたのです。期せずして、新しい年のはじめに大きな宿題をもらった気がしています。

職員 はやしかぐみ

↓ 周防大島郷土大学第1回開講にあたってのメモ