穏やかに、確かに変化を起こす - インドのラジさんのこと(3)

インド、タミルナド州のラジさんの話の3回目。少数民族であるイルラのラジさんたちは、森で採れるものを使って自分たちの収入を向上できないかと共同会社を設立。ハチミツは大切なその一つ。利益率がよい。タマリンドやグーズベリー(セイヨウスグリ)の実も以前は、乾燥させたり砂糖漬けにするだけだったが、ピクルスにしたりキャンディに加工したりすれば付加価値がつく。でも果実類は採ったらすぐ加工しないとだめらしい。政府系の金融機関が融資の話をもちかけたが、ラジさんたちは期待されている事業規模を運営するのは難しいと判断。小規模支援の可能性を交渉している。販売は、

現在共同会社のメンバーは150人。ほとんどが女性で、6割がイルラ、4割がダリット(アウトカースト)の人たち。当初外部のグループと交流した経験が少ないイルラの人たちは、ダリットの人たちと一緒に行うことを拒んでいたが、ラジさんが協力しようと説得した。ひとつには、厳しい環境でも育つ雑穀の栽培を推奨していることや健康ブームで雑穀の人気が高まっていて市場ニーズがある。このような現実的なプラス面を説いた。

近くの地域に住んでいても今まで交流のなかった人たちと協力し事業を起こし広げていく。どのように産物の付加価値を高められるか、そのための加工技術、そして消費者への流通。外の世界への視野を広げ、ひとつひとつ考え、行動し、対応していく確かな歩みがある。森林権利法を学習するのもそのひとつ。森の産物をまちに運ぶとき森林局によるチェックがある。いろいろ質問させたりいじらるを言われたりする。そこで、森林法によってイルラには、森林の資源や土地を利用する権利が守られていることを学習。。しかしそういう状況はなかなか収まらない。「(ゾウの保護区の)レンジャーは象が死んだらすぐにかけつけるが、イルラが木から落ちて骨折しても何もしやしない」政府がゾウの保護区内に住む人たちを区外に移住させようとしていることも一因らしい。

職員 はやしかぐみ

↓ラジさんたちの会社の事務所の壁面に、イルラの伝統的な暮らしが描かれている。