2023年 インド出張記② コタワル村の保健委員会
先月下旬、4年ぶりにインドに行ってきました。
北部のラジャスタン州のチャヤさん(2019年国際研修参加)が所属するNGO、Prayas(プラヤス)と
協働事業を始めるにあたり、現地の様子を確認し、関係者と会って話をするためです。
Prayasがどんな活動を、どんなふうにすすめているのかを知ることも目的の一つでした。
国際研修で「参加型の可能性」を実感したチャヤさんは、
地域活動に参加型アプローチを取り入れてきました。
2020年から2023年度まで、ラージサマンド県の保健プロジェクトで、
村落保健・衛生・栄養委員会(以下保健委員会)の活性化に取り組んできました。
保健委員会とは、
保健ワーカー、保健啓発員、栄養指導員、区議会/村議会議員といった公的な役職についている人や、
村の有志などで構成され、1万ルピー(約1.6万円)の年間予算でもって、
村の保健・衛生・栄養状態の向上に資する活動を行うことになっています。
ところが、多くの村の委員会はほとんど機能していませんでした。
コタワル村では何年もの間、委員たちが顔を合わせる機会すらありませんでした。
Prayasのスタッフ・ヴィジャイパルさんは、役職から委員になっている人を訪ねて、
とりあえずみんなで集まろうと呼びかけました。
委員たちはあまり気乗りしないまま会合にやって来たのですが、
村にある保健副センターが4年前から閉鎖されていることについて話し始めると、
みんなが思っていることや知っていることを口にして、以下ような状況がみえてきました。
■村の人たちは少し離れたところにある保健センターまで行くために
往復120ルピー(約200円)/人の交通費を払わなくてはならず、
そのうえ、その日の仕事ができないという経済的負担を負っている。
■自分たちが知っているだけでも26人の女性が妊娠中で、
彼女たちは適切な周産期ケアサービスを受けられていない。
それ以上に、多くの子どもが必要な予防接種を受けられていない。
副センターがちゃんと機能していれば、こういった事態は生じなかったはずだし、
保健委員会がちゃんと活動していれば、副センターの機能不全化を防ぐことができたはず。
Prayasの職人に指摘されるのでなく、自らそのことに気づいた委員たちは、
自らの意思で行動を起こし始めました。
保健副センターの再開を求める要望書を書き、70人の村人の署名を集め、郡長に提出しました。
何度か郡の役人と話し合いをして、副センターに什器、人材、医薬品等が整備・配置され、
要望書を提出してから9か月後に副センターは再開しました。
でも、まだ色いろな問題があります。
まず第一に、2022年の予算が未だに支給されていないことです。
どこで、どんな理由で、プロセスが止まってしまっているのか、分からないそうです。
それに、村はずれに暮らす人たちが医療保健サービスや情報にアクセスすることは、
未だに困難です。
また、母子保健や新型コロナウイルスワクチン接種については成果をあげてきたけれど、
その他の保健課題がおきざりになっています。
2点目、3点目については、仲間を増やすことで前進できると委員たちはいいます。
けれど、行政のほうがしっかりしてくれないと・・・。
職員 髙田