「対話型鑑賞」

先週末、隣町で行われた福のり子氏の講演会

「アート&コミュニケーション 先の見えない時代のサバイバル術」をききに行きました。

福氏は1990年代初めに「対話型鑑賞」を初めて日本に紹介した人です。

 

「美術作品の解釈に正解はない」

「アートとは美術作品のことでなく、美術作品を通してコミュニケーションすること」

と福氏は言います。

 

「対話型鑑賞」は、交通整理役のファシリテーター(またはナビゲーター)のもと、

グループでの対話を通して、美術作品の表面的でない奥深い意味を読みとき、

みんなで納得解を探していきます。 やり方はとてもシンプル。

「みる⇒考える⇒話す⇒聴く」というプロセスを繰り返していきます。

とはいえ、グループのメンバー一人ひとりに

■意識を集中して観察する力、

■論理的な思考力、

■自分が感じたこと・考えたことを捉え、言葉化する力、

■他人の言わんとすることを理解しようと、注意深く耳を傾ける力、

などが必要になります。

 

ですから「対話型鑑賞」を通して、

■自己を開示し、他者を受容をする力、

■正解のない問いに取り組む力(=問い続ける力)

が身に着くのだそう。

 

AHIの参加型研修と共通するものですね。

 

国際研修は正解を教える場ではありません。

異なる社会的・文化的背景を持つ人たちが経験や知識を共有し合い、

協働して集合知をつくりあげる場、「学び合う」場です。

 

かといって、国際研修は学び合いの終着点でなく、出発点です。

国際研修を終えたのち、

研修生がそれぞれの活動地域で仲間とともに集合知をつくりあげ、

納得解を見つけ出し、それを実行していくことが期待されるからです。

 

AHIは今、組織強化に取り組んでいます。

「国際研修を終えたのち」の元研修生の活動を

AHIがどのように後押しすべきかを考え直すなどしています。

ここ1~2年、職員と理事が議論を続けてきました。

これもまた「正解のない問いに取り組む」一例ですねー。

 

職員 髙田