フィリピンの研修生から~メンタルヘルスは今こそマスト!

フィリピンの元研修生ジャネット(Janet Pimentel Paredes)さんからのメールをご紹介します。
コロナ禍でのメンタルヘルスの課題、そして彼女のとりくみへの熱い思いが伝わってきます。

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パンデミック以降、メンタルヘルスの活動はチャレンジばかりです。
けれども私は、村々での「住民がすすめるメンタルヘルス活動」を続けています。
これは、2018年に成立した、
フィリピン史上初の「精神保健法」に基づいて行っているものです。

この法律は施行されたばかり。まだ国全体で実施されているとはいえません。
ですから、とくにパンデミックの影響を大きく受けた地方の村々で
メンタルヘルス活動を広げていくこと。
これは私の団体NADAの重要な役割の一つです。

精神疾患、自殺、うつ、不安障害、PTSD、ストレス、トラウマ・・・
パンデミックによってこれらの苦しみに苛まれている人たちは、数え切れません。
地方では圧倒的にメンタルヘルスのサービス提供者が不足しています。
精神科医の助けは期待できず、薬もありません。
気付かれることも、解決されることもなく、人びとは自ら命を絶っていきます。

何か、手を打たなければ、いけないのです。
今こそ、地域の人びと、そして自治体の、
メンタルヘルスへの意識を高めることが必要なのです。

NADAでは、村の住民たち自身がメンタルヘルスについて取り組む際、
耳鍼のトレーニングも取り入れています。
今、私はその経験と効果を論文にまとめているところです。
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ジャネットさんは1995年にAHIの国際研修に参加しました。
その後、専門である耳鍼を用いながら、
地域における、薬物中毒者や災害被害者への心のケアにとりくんできました。

2018年に成立した「フィリピン共和国精神保健法」は、
メンタルヘルスを担う地域の人づくりをはじめ、
当事者の権利の保障、心理社会的側面にも考慮したケアの開発、
保健だけでなく、教育や地域社会との連携を掲げています。
彼女が長くとりくんできたことに、
やっと国が追いついてきたといえるのかも、しれません。

彼女の論文も、楽しみです。

*写真は1995年国際研修参加時のジャネットさん。リーダーシップについてのディベートをファシリテートしています。

AHI 清水