老いてゆくすがたを見せることは、人間を伝えること
いつものお寺の掲示板です。
信号で止まったタイミングで車の中から写真に収めるのですが、
今回はちょうど良いところで止まることがなかなかなくて、
しばらくは目の端で見ながらも通り過ぎていました。
「老いてゆくすがたを見せることは、人間を伝えること」
樹木希林さんの言葉です。
2018年に亡くなられた後、彼女の言葉を紹介した本が
書店に何冊も並んでいましたね。
この言葉を読んだ時に思い出したのが、
甥っ子の言葉でした。
当時は保育園児だったでしょうか。
同居している彼にとってのひいおじいちゃんが亡くなられた時に、
「僕も、そのうちお兄ちゃんになって、お父ちゃんになって、
おじいちゃんになって、死んじゃうんだ」と泣いていたとのこと。
死ぬということがどういうことかは、よくわからなくても
無条件に、思いっきりの愛情を注いでくれたひいおじいちゃんが
いなくなってしまった、その喪失感や無常観を彼は精一杯に
受け止めていたのでしょうか。
コロナ禍で家族葬が多くなり、少し離れたところに住んでいれば
孫も葬儀に呼ばないという話を聞きました。
病院や施設へのお見舞いや面会も、まだ規制されているところが
多いだろうと思います。
核家族化が進んだ現在、老いてゆく姿を見せることさえ、
意識しないと難しいですね。
現在、校正の段階にある会報「アジアの健康」2月号ですが、
この原稿を読まれた方が「希望を感じます」と言ってくださいました。
2月号でご紹介する国際研修の研修生は、
それぞれの団体で次世代を担う人達です。
また8月にインターンに来てくださった
南山高校の皆さんの言葉もご紹介しています。
若い方たちならではの前向きな未来への展望は、
私たち(若いとは言えない人たち)に、希望を感じさせてくれます。
違う世代の人たちが一緒にいることの意味を
あらためて考えさせられます。
職員はさだ