AHIニュース関連ブログ③ 2002年、イルラとの出会い

写真:イルラの集落への道(RDC提供、2020年撮影)
診療道具や薬を携えた巡回医療チームは、車を降りてから8kmの山道を歩きます。
それでもこの集落はまだアクセスがよい方です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今月、月曜日と木曜日のブログは、
AHIニュース6月号「『信じて任せる。』スターリンさんの次世代の育て方」
に関連するエピソードです。
第3回目の今日は、スターリンさんとイルラの出会いをご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
スターリンさんは指定カースト(ダリット)の出身で、
自分も差別や偏見、貧困を経験してきました。
大学でソーシャルワークを学び、在籍中から社会運動に加わり、
卒業後はNGOで働いてきました。
 
2002年に農村開発協議会(RDC)に入職してすぐ、
クリシュナギリ郡の森にあるイルラの集落を訪れました。
キリスト教系の慈善団体から、生活支援物資を届けてほしいと頼まれたのです。
 
スターリンさんはイルラの人たちの貧しい暮らしをみて心を痛めました。
この状況を何とかしたい、そのためにも彼らのことをもっとよく知ろうと思い、
再び集落を訪れ、2週間滞在しました。
 
とはいえ、イルラの人たちは警戒して、
話しをするどころか、近くにもきてくれません。
スターリンさんは、彼らの小屋から少し離れたところで露営しました。
いくらかの食べ物を持ってきていましたが、水は持参していませんでした。
そのため、動物の水飲み場の水を飲みました。
何日かすると、興味を持った人が話しかけてくれ、
食べ物を分けてくれるようになりました。
 
それから繰り返し集落を訪れ、イルラの人たちと寝食をともにし、
徐々に信頼関係を築いていきました。
 
イルラの集落を訪ねるには、何日も、長い場合は
2週間近く家を空けなくてはなりません。
この頃スターリンさんは結婚したばかりでしたが、
RDCでインターンシップをしたことのある妻は、
スターリンさんの熱意や使命感を尊重し、応援してくれました。
 
――――――――――――――――――――――――――――――――
第4回「チャリティ&調査活動」は、6月14日(月)です。
 
 
職員 髙田弥生