「ものがたり」のもつチカラ

私の実家の母は梨を作っています。
12年前から母の思い付きで、敬老の日を含む連休に
「梨祭り」をするようになりました。
名称から誤解をされることがありますが、地域とか団体のお祭りではなく
一軒の農家のささやかなイベントにすぎません。

いつもは作業場で、梨の小売りをしているのみですが、
この梨祭りの期間は、母屋でお饅頭とお茶の接待をし、
そこで知り合いの手作り品の販売をしています。
この手作り品のメインは、AHIの民芸品で、
AHIの玄関でも販売しているものです。

私も仕事のない日は店番をし、
民芸品に目を止めてくださった方に
その民芸品の作り手のことをお話します。
「これはベトナムにあるストリートチルドレンの子たちの施設で作られたもので…」
「色のきれいなサリーをほどいて、その色糸で刺しゅうしているんですけど…」
「イスラムの教えの強い地域では、女性が外に働きにいくのは難しいのですけど、…」
「ただでさえ、女性の立場は弱いのに、さらに障害をもっていると…」
「お金を稼げるようになると、家の中での発言力が増すのは、どこも同じで…」

ついつい気持ちが入り、長話をしてしまいます。
今回は4日間でしたが、毎年、オープンハウスと同じくらいの
売り上げがあります。
(とはいえ、原価や送料、関税などで、AHIの収入にはなりにくいです)

いろんなイベントに出展しますが、
ゆったり工房のあじさいコンサートのように
もともと心のある方たちが来場されるイベントと、
普通のイベントとは、おのずと皆さんの反応も違います。

梨祭りは、梨を買いに来られた方たちが中心ですが、
それでも、その物がもつ「ものがたり」に出会い、
何かを感じて、購入してくださっているのではと
思います。ありがとうございます。

一番上の写真は、その一コマ。
人みしりで、お客様がいらっしゃる間はどこかに隠れていた
猫のジェリーが、いつのまにかバングラデシュのノクシカタの
真ん中で、くつろいでいました。

今年はコロナのこともあり、悩んだようですが、
庭にテントをはり、テーブルの数を倍にして、開催しました。
どの方も、マスクをされ、消毒にも協力してくださいました。
観光地もにぎわったようですが、予防のためのポイントを
押さえつつ、いろんな活動が再開されていきますように。

職員はさだ