40年を経た今こそ、プライマリヘルスケア
去る1月26日に、「世界貿易が人びとの健康を脅かす」
と題して学習会を持ちました。難しそうなタイトルにも
かかわらず、20名を超える参加者がありました。
たとえば自動車産業に関わっている人は
「貿易」というところに
眼をとめてくださったようです。
内容は、2018年11月にバングラデシュで行われた
世界民衆保健会議(People's Health Assembly PHA)
に参加した元職員の宇井志緒利さん(立教大学教員)の報告です。
この会議は、世界保健民衆運動
(People's Health Movement PHM)の主催です。
会議の背景、そこで指摘、議論されたことなどが話されました。
世界保健機関(WHO)は、2018年10月に世界の保健の取り組みを
見るときひとつのエポックメーキングな意味を持つ「アルマアタ宣言」
から40年を記念した国際会議を開きました。
アルマアタ宣言は、治療中心であったそれまでの
保健医療政策を予防にも重点を置き、
同時に住民の参加に基づく地域での保健活動を推進する必要が
あるとうたっています。
その宣言から40年で出された宣言は、
アスタナ宣言(旧ソ連時代のアルマアタは、現カザフスタン
のアスタナ)と呼ばれます。
その宣言を批判的に見た上での指摘を含め、PHMは自らも宣言を
出しました。Alternatiave Civil Society Astana Statement on PHC
その内容を見ていただけるように文面を掲載しました。
コチラよりご覧ください。
1978年プライマリヘルスケアが打ち出された背景には、
多くの草の根での実践がありました。
AHIが後につながりを持つことになる、
フィリピン、ダバオでは医師夫妻が無料診療所を開設。
しかし同じ病気で患者さんが繰り返しくる状況に
それでは問題は変えられないと、保健ボランティア
の育成を始めました。長年AHIが先輩として多くの刺激を
受けてきたインド南部の医師夫妻も医科大学で教わった知識が
役立たず、むしろ学校に行ったこともない産婆さんが持って
いる知恵と技術の確かさを知り、ボランティアの育成へと
舵を切りました。そういった多くの実践と経験からの学びが
プライマスヘルスケアの考え方に結実したと言えるでしょう。
小さな草の根での実践がグローバルな動きを生み出す。
それをこれからも実現したいとあらためて思います。
職員 はやしかぐみ