私が出会ったダリットの人たち①

 
AHI事務局では、11月下旬から12月初めに行われるAHI巡回交流会
「ダリットとして生きる ~インド社会で虐げられてきた人々の声に聴く~」の準備を
すすめています。
 
※ ダリットとは:インドのカースト制度(ヴァルナ・ジャーティ制)の外におかれた人たちの自称の一つ。
  サンスクリット語で「砕かれた」という意味。
 
 
 
「ダリットとして生きる」の広報も兼ねて、私が出会ったダリットの人たちのお話しをさせて
いただきます。
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2016年4月、タミルナドゥ州訪問時のこと。長年、ダリットの人権回復のために働いてきた
元研修生を訪ねました。
「タミルナドゥ州では、ダリット解放運動が強くすすめられてきたから、ダリットのおかれた
状況は随分とよくなった」と言い、ダリットの人たちが住む村に連れて行ってくれました。
そこに住む人たちは、NGOとともに行政に掛け合い、土地の所有権を得て、小さな共有地で
ココナッツを育て、市場で売り、その収益でヒンドゥー教のお堂の建設をすすめているところ
でした。

「小さいながらも自分たちのお堂を持てることがとても誇らしい」と言い、そして明るい顔の
まま、
「今あなたたちが通ってきた道は、私たちは使えない。向こうにある迂回路を使うんだ」とか、
「この前カーストの人から石を投げられて目の上にあたって、片目が見えなくなった」といった
ことも話してくれました。
 
「状況は随分とよくなった」という今でも、日常的にこのような行いがあることに私はショックを
受けました。
そして「いつまでもこんな振る舞いを続けるカーストの人たちは愚かだ」と笑い飛ばすことで、
ダリットの人たちは自身を励ましているようにみえて、何とも言えない気持ちになりました。
 
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ダリット出身の講師、ムルガン・カリラトナムさんは、30年以上、差別や偏見と闘い続けてきま
した。それでも彼にはアグレッシブなところがなく、世話焼きで、包容力の豊かさが魅力です。
インド社会で虐げられてきた人々のことを、静かに、でも確かな言葉で語ってくれることでしょう。
どうぞお近くの会場にいらしてください。

http://ahi-japan.jp/press/001/

職員Y