バングラデシュに思いを馳せる

このところ、バングラデシュの政変が大きなニュースになっています。

暫定政権が発足したものの、

このあと民主的なプロセスを経てちゃんとした政権が成立するかどうか、

固唾をのんで見守っています。

 

AHIの事業への影響も心配です。

また何かしらの問題が起きて、情勢が不安定になれば、

同国から国際研修に参加する人たちの渡航に影響があるかもしれません。

無事来日できても、残してきた家族や友人のことが気にかかり、

研修に集中できないかもしれません。

 

インターネットでアルジャジーラの記事の副題が目に留まりました。

副題は「It seemed the students toppled Prime Minister Sheikh Hasina’s government

in five short weeks,but this revolution was 15 years in the making.」

訳:学生たちはわずか5週間でハシナ政権を倒したようにみえるが、

 この革命は15年前から進行していた。

15年前、この度辞任に追いやられたハシナ首相の長期政権が始まりました。

その年の選挙でハシナ氏率いるアワミ連合は圧勝しました。

 

国民の期待を背負って始まったハシナ政権ですが、

記事によると、そのもとで同国は著しい経済発展を遂げたものの、

人権や民主主義が減退し、政府が権威主義や暴力を増したようです。

 

学生たちは、政府が経済発展を成果として強調するけれど、

深刻雇用不足や物価上昇が続くこと、

それに、民主主義が蹂躙されていることに不正義を感じ、

ことあるごとに抗議活動などを行ってきたそうです。

 

「ことあるごと」の例をあげると・・・

●2018年にバスが事故を起こし、

10代の若者ふたりが巻き込まれて命を落としました。

学生たちは5日間にわたって路上に出て

免許証のチェックや交通整理などを行いました。

●同年、国家公務員採用の優先枠に抗議し、撤廃させました。

(ところが今年6月、裁判所がこの決定を覆したことが、

今回の「革命」の発端となりました。)

●2019年にSNSで政府を非難した若者が政府の支持者に殺され、

学生たちは大規模な抗議運動を起こしました。

 

15年の間、学生運動に浮き沈みはあったものの、

学生たちは情熱を絶やさず、民主主義を求め続けてきました。

そして今回、それが長期政権を転覆させるに至ったということです。

 

この騒動で300人を超える人が亡くなったとききます。

なかには抗議活動の参加していたわけでなく、

デモ隊と治安部隊の衝突に巻き込まれた

リキシャ(自転車タクシー)の運転手なども含まれているそうです。

多くの犠牲や痛みを伴ったのですから、

真の人権や民主主義の状況が改善されることを願うばかりです。

 

職員 髙田