元研修生たちの事業提案書の書き方研究会【中間報告】

今年度、AHIは元研修生たちの現場で役立つツールや手法の勉強会の支援に力を入れています。

「事業提案書の書き方研究会」が6/26と7/10に行われました。あと数回は続く見込みです。

今日は研究会が始まった経緯、第1・2回目の研究会の様子をお伝えします。

 

職員 髙田

 

1. 研究会が始まった経緯 ==================================

この研究会はバングラデッシュのモドンさん(2008年国際研修参加)が、

「AHIは事業提案書の書き方研修をやってる?」

と尋ねてきたことをきっかけに始まりました。

 

元研修生が所属するNGOの多くは海外や国内のドナーから資金援助を得て、

地域課題の解決に取り組んでいます。

資金援助を得られるかどうかは、事業提案書の良し悪しにかかっているため、

実行可能な事業計画をつくり、

それを説得力や魅力ある形で提案書にまとめるスキルは重要なのです。

 

AHIは資金提供団体ではないので、残念ながら「経験に基づいて」

説得力と魅力のある提案書をつくり方を教えることは叶いません。

しかし、どういう点に注意したり工夫したりすれば、

論理的に事業計画を組み立てられるかを

みんなで考える機会をコーディネートすることはできます。

それで元研修生たちに呼びかけ、

事業提案書の書き方スキルを向上させるための勉強会を催すことになりました。

集まったのは1回目に6名、2回目に3名と少人数ですが、

意欲の高い人たちが参加しています。

 

2.第一回目の研究会の様子 ==================================

まずは事業提案を書くに際しての問題や悩みを明らかにするため、

元研修生たちは、どんな点に悩んだり、自信がなかったり、満足できなかったり

しているのかをシェアしました。

「ドナーが指定するフォームには、記述する事項や文字数の制限があって、

自分たちが伝えたいことを十分に伝えられない」

「事業目標、アウトカム、アウトプット、活動、

これら全ての整合性がちゃんととれているかどうか、自信がない」

「小規模な資金提供スキームの場合、支援対象や活動を絞り込まなければならない。

優先順位のつけ方に悩む」

こういったことが、元研修生たちに共通した問題や悩みであることが確認できました。

 

3.第二回目の研究会の様子 ==================================

共通の問題や悩みが明らかになったところで、事業提案書をつくるための手順を確認しました。

 

元研修生は一人ずつ、以前、事業提案書を作成した際にどんな手順を踏んだかを、

AHI職員は7~8年前に講習で教わったステップを発表。

それによって、元研修生たちは自分のやり方と、

教科書に書かれているやり方の違いを確認しました。

 

ちなみに教科書では、

「地域の住民や関係者と一緒に『関係者分析』→『問題分析』→『目的分析』→

『プロジェクトの選択』の4つの分析ワークショップを順に行い、

これらの分析結果に基づいて、事業計画を立てる」とされています。

4つの分析がちゃんとできていれば、おのずと実行可能な計画ができるはず。

このように包括的な画を立てたうえで、ドナーが指定する事業提案フォームに記入します。

つまり、事業提案書を書く前のステップこそが重要だということです。

 

地域の住民や関係者が分析ワークショップに参加するとなれば、

アレンジが大変になるし、時間もかかります。

限られた人数で活動している元研修生たちにとって、

参加型ワークショップの開催は大きな負担です。

しかし多様な視点を取り込むことで、より正確な分析ができます。

それに事業実施の前段階から地域の住民や関係者が関わることによって、

提案が通って事業を行うことになったとき、彼らの協力や参加が得られやすくなります。

長期的にみれば、労力や時間を節約できるのです。

 

その後、元研修生たちは第一のステップである「関係者分析」のやり方を勉強。

教科書には①受益者、②実施者、③政策決定者、④協力者、⑤財政負担者、

⑥悪影響を被る(可能性のある)グループ、⑦反対者 について考察すること、

とあります。

元研修生たちは、ふだん関係者をリストアップしているけれど、その後、

その人/グループの立場についてもっとよく考察することが肝要であることを学びました。

============== お わ り ================