声明「ミャンマークーデターから2年 日本政府は対ミャンマー政策の再構築を」に賛同しました

ミャンマーで国軍がクーデターを起こし全権を掌握してから、2月1日で2年となりました。
国軍の弾圧で民間人の死者は約2900人、拘束中の政治犯は1万3000人を超え、現在も各地で民主派との武力衝突が頻発しています。経済への打撃も大きく、人びとは困難な生活を強いられています。将来に希望を見いだせずドラッグに逃避する若者も。そしてそのような中で、不服従運動を続け声をあげている市民がいます。
そのように、それぞれに懸命に生きるミャンマーの人びとを、AHIの元研修生たちも支え続けています。

この間、日本政府は国軍の利益となりかねない政府開発援助や経済援助を、一貫して続けています。
(先週も日本の援助によるミャンマーのバゴー橋建設事業に際し、2022年に1.3億ドル以上が国軍系の企業に流れた可能性があるという報道がありました。)
こうした日本政府の姿勢を問う日本の市民や日本在住のミャンマーの人びとから発する声に、AHIはこれまでも連なってきました。そしてこの度、2/1に政府に提出された下記の声明にも賛同いたしました。

これからも、AHIは多くの団体や市民とともに、日本政府の動向を見つめていきます。

詳細→FoE Japan ウェブサイト:https://foejapan.org/issue/20230112/11158/
(*サムネイル画像も上記サイトより転載)
声明文は下記、もしくはこちらから→ http://www.mekongwatch.org/PDF/rq_20230201.pdf

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2023年2月1日

共同声明 クーデターから2年 日本政府は対ミャンマー政策の再構築を

2021年2月1日にミャンマー国軍が引き起こしたクーデター以降、同国では国軍や警察による民間人に対する暴力が継続し、多数の死傷者及び拘束者が発生している。国連の12月初旬の報告によると、ミャンマーには推定147万3千人の国内避難民(IDP)がおり、そのうち、クーデター以降に新たに避難民となった人は114万3千人にも及ぶ。また、国軍の無差別砲撃や空爆により、
子どもを含む多数の民間人が死傷している。弾圧に追い詰められ、武器を手にした若者も少なくなく、各地で武力衝突が発生し、事態は混迷を極めている。このような事態に陥った原因は、ミャンマー国軍が選挙で国民の圧倒的な支持により選ばれた政府を打倒したことにある。日本政府はクーデター以降、ミャンマー国軍に対し、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復を求めている。しかしこの2年間、日本政府の呼びかけは何ら効果を上げていない。それどころか、日本政府のミャンマーに対する働きかけには大きな矛盾がある。

国軍が選挙で選ばれた政府を倒した後も、日本政府は、二国間の約束に基づくはずの政府開発援助(ODA)を継続している。更に、2022年に経済開発担当の内閣官房内閣審議官がミャンマーを複数回訪問し、国軍の設置した国家統治評議会(SAC)の高官と面会もしている。そのうえ、会談内容は明らかにされていない。このような日本政府の対応は、国際法に違反し人権侵害
を続ける国軍と日本政府の親密な結びつきを想起させ、ミャンマーの市民から批判を受けている。またSACとの経済的な関係を維持することは、平和、自由、平等、民主主義、人権、法治などの「普遍的な価値」を外交の柱に据えていると標榜する政府方針とも矛盾している。これらを踏まえ、私たちは以下の点を強く要請する。

1. ミャンマー国軍が暴力を停止し、恣意的に拘束した全ての人々を解放し、かつ、国民民主連盟(NLD)関係者や民主化を求める市民、少数民族武装勢力等も含めた対話の上で、民主化移行プロセスへの復帰を具体化するまで、ODAなどの政府による経済協力は一旦これを全て停止すべきである。

2. 国軍とその上層部は、軍系企業とその経済網から莫大な利益を得ていることが明らかとなっていることから、国軍や国軍系企業の関与するビジネスは日本の官民共にこれを停止すべきである。

3. ミャンマー国軍がクーデター以前から長期にわたり、民主主義を求める市民やビルマ民族以外の自治を求める民族、宗教マイノリティに対して、凄惨な暴力を行使し、その権力を維持してきたことをあらためて認識した上で、今後の対ミャンマー政策を再構築すべきである。

4. ミャンマーの市民の支持する国民統一政府(NUG)や少数民族地域の各グループ、また市民グループなど幅広いステークホルダーと対話し、生存を脅かされている避難民へ国境を越えた援助ができる体制を、日本政府が国際社会と共に築いていくことを強く求める。

いわゆる2011年の民政化は、軍事政権が制定した2008年憲法の下で、内務、国境、国防などの武装組織を指揮する省庁は国軍の支配下にあり、選挙によって選ばれた文民主導の政府との間で権力を分担する不十分な民主化でしかなかった。それにも関わらず、日本は官民共に経済的な支援を優先し、ミャンマーの真の民主化を求めてこなかった。それ以前の1990年代から、日本は官民でミャンマーの海上ガス田開発に関与し、当時の軍政に莫大な利益をもたらしてもいる。このことを私たちも含め深く反省する必要もある。その上で、ミャンマーの人々との新たな関係を築く努力を始める時である。

呼びかけ団体:
メコン・ウォッチ、アーユス仏教国際協力ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、日本国際ボランティアセンター(JVC)、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)

呼びかけ人:
雨宮処凛(作家・活動家), 秋林こずえ(同志社大学教員), 稲葉剛(立教大学大学院客員教授),飯塚拓也(日本キリスト教協議会東アジアの和解と平和委員会), 飯島滋明(名古屋学院大学教授 憲法学・平和学), 岡田隆法(真言宗豊山派), 太田昌国(評論家・編集者), 大河内秀人(見樹院住職・INEBメンバー), 大野和興(日刊ベリタ編集長), 亀山仁(写真家), 畠山澄子(ピースボート), 纐纈厚(明治大学国際武器移転史研究所客員研究員), 佐々木寛(新潟国際情報大学教授(政治学)), 佐伯奈津子(インドネシア民主化支援ネットワーク), 志田陽子(武蔵野美術大学造形学部教授), 清水雅彦(日本体育大学教授(憲法学)), 瀬戸大作(一般社団法人反貧困ネットワーク事務局長), 高原孝生(明治学院大学教員), 竹信三恵子(ジャーナリスト), 武井由起子(弁護士), 武田隆雄(日本山妙法寺僧侶), 平良愛香(日本基督教団川和教会牧師), 髙坂勝(NPO SOSA PROJECT), 筑紫建彦(憲法を生かす会), 永井浩(ジャーナリスト), 永山茂樹(東海大学教員), 中尾恵子(日本ビルマ救援センター代表), 中野晃一(上智大学教授), 根本敬(上智大学教授), 昼間範子(日本カトリック正義と平和協議会事務局), 東澤靖(明治学院大学法学部教授・弁護士), 村主道美(学習院大学法学部教授), 守屋友江(南山宗教文化研究所), 湯川れい子(音楽評論家・作詞家), 吉髙叶(NCC日本キリスト教協議会議長), 渡邊さゆり(アトゥトゥミャンマー支援 共同代表)

賛同団体(47団体):
(特活)アジア・コミュニティ・センター21, JEF(プレス・エージェント),
NPO法人 久留米地球市民ボランティアの会,
NPO法人ビラーンの医療と自立を支える会,
RAFIQ (在日難民との共生ネットワーク),
アジア開発銀行福岡NGOフォーラム,
アジア女性資料センター,
アジア太平洋資料センター(PARC),
イエズス会社会司牧センター,
エナガの会, カトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピス,
カノン行政書士法務事務所,
ふぇみん婦人民主クラブ,
ポレポレ佐倉,
ミャンマー(ビルマ)の市民の訴えを聞く会,
ミャンマーの今を伝える会,
ミャンマーの人たちを支援する有志の会,
ミャンマー民主化を支援する信州の会,
ミャンマー問題を考える会,
医療と福祉の戦争協力に反対する連絡会議,
一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター,
基地のない沖縄をめざす宗教者の集い,
研究所テオリア,
公益財団法人アジア保健研修所(AHI),
自由と人権,
多文化共生と地域福祉の会,
地雷廃絶日本キャンペーン,
特定非営利活動法人Alazi Dream Project,
特定非営利活動法人APLA,
特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会,
特定非営利活動法人地球の木,
日刊ベリタ編集委員会,
日本カトリック正義と平和協議会,
日本ビルマ救援センター,
日本山妙法寺,
認定NPO法人 世界の子供にワクチンを 日本委員会,
NPO日本ミャンマー豊友会,
熱帯林行動ネットワーク (JATAN),
不戦へのネットワーク,
平和をつくり出す宗教者ネット,
豊川いのちと未来のネットワーク,
北大生・宮澤弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会・事務局,
緑の党グリーンズジャパン
他4団体

個人賛同:484名

声明に関する連絡先:
特定非営利活動法人メコン・ウォッチ(担当 木口)
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F
電話:03-3832-5034 FAX:03-3832-5039
Email: contact@mekongwatch.org

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以上(AHI清水)