たをぬくから、タヌキ

ずいぶん前に、滋賀県の山間の信楽の街道を車で走る機会がありました。

予定せずに通りかかったため、道路沿いに次々と現れる、たぬき、タヌキ、狸、、の焼き物に圧倒されてしまいました。

 

カラフルで小さなものから、3mを優に超えるだろうと思われる大ダヌキまで。

 

立ち寄った一軒の路面店でも、屋外の販売スペースから建物内の棚の隅々にいたるまで、様々な表情のタヌキが、そこかしこを埋め尽くしたなかで、ずっと見て回っていても飽きることがありませんでした。

 

ところでなぜタヌキなのか。

ちろん昔から身近に生息し、子どもを多く連れ立って徘徊するさまは愛くるしく親しみやすい生き物(つまり万人受けしやすい題材)です。けれどタヌキは、縁起物の象徴でもあるのだそう。

その理由は、「他(を)抜き(去る)」とも読めることから、商売繁盛のシンボルとして、お店の前によく飾られるんだそうです。こういうふうに飾られると、「うちの店でも」と、世の中、商売が増える中でずっと買い求める人がつづいてきたのかもしれません。

 

ただ昨今の新型コロナ禍の中で、飲食店をはじめ個人経営の店舗が打撃を受けており、また小規模な一般商店も、大型スーパーやネット通販に押される中で、タヌキの居場所は減ってきているのかもしれません。多摩ニュータウンの造成拡大で住処を追われたあのタヌキたち※と同じような目に、信楽のタヌキたちがあうことなく、たとえそのような未来でも新たな住処を見つけることができるよう、祈るばかりです。  職員 ごんだ

※ https://www.ghibli.jp/works/tanuki/