(心理社会的健康増進にむけた住民意識向上事業)
背景
ネパールでは、過去の紛争によるトラウマや、DVなどの暴力、差別そして貧困によって、心の傷を負い苦しむ人々が増えています。
けれども行政のサービスは届かず、心の病に対する正しい知識がないため、治療という名のもとに拘束され、狭い病室に閉じ込められたままだったりお祓いなどを行う伝統療法師だけを頼ってしまったりと、何の手も差し伸べられないまま、症状を悪化させている人たちが多くいます。
また、その家族(特に女性や子ども)への影響も深刻です。
知ること。そしてみんなで支えあう関係づくり
村に住む人々自身が、貧困や暴力が心の健康に及ぼす影響について知り、お互いに助け合って、そうした心の傷を生む社会的な原因をひとつひとつ解決していくこと。
また、そうした問題を抱える人びととその家族、その危険のある人びとが、村の人たちにとり残されず支えられる関係や仕組みをつくることが大切です。
ミッション
ネパール西部2郡(タナフ・シャンジャ)16村で、障がいやトラウマ、依存症、出稼ぎや家庭内暴力によるうつなど、心のケアを必要とする人たちやその家族自らが、心理社会的に健康で暮らせるよう以下の取り組みを行います。
心理社会的健康とは?
心の状態は、他者との関係性や、家庭内、地域、学校、職場などの環境に影響されます。
精神疾患は、薬で症状を抑えたり、緩和させることはできますが、病の原因までは解決できません。
心が健康であり続けるためには、地域やそこに暮らす人びともそして社会も変わらねばならないのです。
心理社会的健康とは、人の心が健康であり、そのために社会が健康であることです。
ボランティアカウンセラーの育成
障がい者およびその家族による自助グループ、子ども会のメンバーを対象に、心理社会的健康についての研修を行い、ボランティアカウンセラーとして育成する。
団体強化
自助グループの連合体が、自分たちで心理社会的な課題を解決するための活動を運営できるよう強化・育成する。
意識向上研修
自助グループとその連合体メンバー、教師、政治家、福祉ワーカー、地元行政職員、
その他の地域のリーダーを対象に、心理社会的健康と、それが地域や社会に与える影響に関しての意識向上研修を行う。
技術研修
地域診療所の保健ワーカーを対象に心理社会的問題と精神障がいに関する研修を行う。
現地協力団体による医療の提供
コピラ(現地協力団体・プロジェクト実施NGO)のカウンセラーによる、精神障がい者とその家族及び地域へのカウンセリングと病院への移送と、治療後、地域で暮らせるための継続的なフォローアップを行う。
カウンセリングは三段階になっています。
STEP 1:本人
STEP 2:家族
STEP 3:コミュニティ
協働パートナー団体とメンバー
コピラネパールは、2001年、プラカシュ・ワグリさん(1999年 国際研修参加)が、志を同じくする妻のビーナ・シリワルさん(2004年 国際研修参加)、ティルタ・タパさん(2007年 国際研修参加)とともに立ち上げたNGOです。西部にあるネパール第2の都市、ポカラ周辺の5郡の山村で、低カーストや少数民族出身の貧しい人びとを支援してきました。町から遠く、道も整備されていない、これまで他のNGOもやってこなかった地域です。
夫を亡くした女性や、身体障がい・精神疾患がある夫を持つ女性の助け合いのグループを作り、
その子どもの教育支援にとりくんできました。やがてプラカシュさんは、その女性や子どもたちの中にも、心の傷をもつ人が多いことに気が付きました。ビーナさんはイギリスでカウンセラーの資格を取得し、その原因となる社会課題の解決にもとりくむようになりました。スローガンとして『心理社会的健康』を掲げたネパールで初めての団体です。
コピラネパール代表
ビーナさん
(AHI元研修生)
全事業総括責任者
タパさん
(AHI元研修生)
タナフ郡
事業総括責任者
ミーナさん
タナフ郡担当カウンセラー
ソビタさん
(AHI元研修生)
タナフ郡
地域ワーカー
ギータさん
タナフ郡
地域ワーカー
パビタさん
シャンジャ郡
事業総括責任者
ハリさん
シャンジャ郡
担当カウンセラー
ラクシュミさん
シャンジャ郡
地域ワーカー
キスマヤさん