「いつどこで生まれるか」を「いつどこで生まれても」へ

長く行政マンとして働いた、AHIの評議員のおひとりが、
機関誌に次のように書かれました。

「健康って何だろう」と長い行政の仕事を通じずっと
考えてきました。一番思うのは、「いつ、どこで生まれるか」
で大きく変わる、「社会的な」ものだということです。

その人は現実にある「いつ、どこで生まれるか」による
格差を何とか小さくしようと力を注いでこられました。

国内では12月にはいり新型コロナウイルスの感染
は広がり続け、最高値を更新しています。一方で
ワクチン接種が始まった国々もあります。(同時に
安全性が問われる状況も生じています)
人類誰もにとって未知の脅威だった「コロナ」。
それによる脅威も、影響も、そして今それに対応する手立ても、
「どこにいるか、どんな立場にいるか」によって残念ながら
大きく異なっています。

希望をもたらすワクチンも、経済力の低い70ケ国では
国民の10人に1 人にしか届かないと指摘されています。
金持ちの国に住む人しか手にはいらないという現実。

こういう事態に、南アフリカとインド、2つの国の
政府が声を上げました。世界164ケ国が加盟する世界貿易機関
(WTO)で決められている知的財産権を保護する規定を、
コロナの予防、感染抑止、治療に関するもの(医薬品、医療器具や
医療用品)については、免除しようという提案です。

知的財産権は様々なものに関わります(たとえば音楽や文学
の著作権ですが)医療用品についても、工業製品としてのデザイン
が関わりますし、医薬品についての特許も大きな要素です。

通常保護されていることをコロナに関して免除する。世界の人に
とって手に届くものにするための方策のひとつです。このことを
詳しく知りたいと思う方、ぜひ下記を見てみてください。
https://ajf.gr.jp/covid-19/network-covid19/
AHIが加わった「新型コロナに対する公正な医療アクセスを!」
連絡会が12月16日にオンラインセミナーを開催しました。
当日の様子も上記から見ていただけます。

「どこで、どんな立場で」が違いを生じてしまうのは国際的な
場面だけではありません。私たちの身の周りでも「届かない」
人たちがいることも小さくない問題です。

職員 はやしかぐみ