フィリピンの、ある小さな町の今

フィリピンの、とある小さな町の役場に勤めるマーヴィンさんが、
現在の町の様子を知らせてくれました。
※マーヴィンさんは2005年、若者グループのリーダーとしてAHIの国際研修に参加
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私の町(フィリピン・イロイロ州ビンガワン町)の様子をお知らせします。
 
幸いにも、4月3日時点で陽性が確認された人はいません。
80名の健康観察対象者がいましたが、2週間の間にそれらしい症状はあらわれませんでした。
1名はウイルス検査をしましたが、陰性でした。
 
フィリピンでは一世帯に一枚の許可証が配られ、生活必需品の買い出しなど、
外出の際にはそれを携行しなければなりません。
自治体によって運用方法や程度は異なりますが、ビンガワン町はそれを使って
住民の行動を制限することにより、病気の蔓延を防ごうとしています。
 
町役場は、緊急対応センターを設置し、
近隣の町との境に複数のチェックポイントを設けました。
食糧の配給をしています。
大規模輸送を停止し、市場を開場する日を限定し、夜間の外出を禁止していますが、
一方で生活必需品の買い出しをするための移動手段がない人のために、
計画的に交通手段を提供しています。
ちなみに、酒の販売は禁止しました。
 
医療・保健従事者や、この緊急対応策に第一線で関わる人をのぞいて
町行政職員も在宅勤務を行っています。
軍、警察、消防、村警察、ボランティアグループなどは協力して
第一線で働く人たちに食糧や生活必需品を届けたりしていますが、
個人防護具などは決定的に不足しています。
 
私自身はといえば、この数週間は目の回る忙しさです。
町は災害基金を使って、これらの対策を行っているのですが、
お金は全然足りません。政府が緊急支援策を打ち出すことを期待します。
特に困窮している世帯への支援は急務です。
この状況はしばらく続くでしょう。
町はさらに集中的な対策を講じることになると思います。
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ビンガワン町は人口規模が小さく、これといった産業もないけれど、
住民が活発に町づくりに参加している、いい町です。
住民は毎朝、家の前の通りを掃き清め、ご近所や通りがかりの人とあいさつを交わします。
 
今、世界中の人たちが大変な状況にありますが、
あの人たちが社会的距離をとること、閉じこもった生活を強いられていると思うと・・・。
 
 
職員 髙田