90歳超え賢人たちの、凛とした背中


今週は、2日連続、90歳超えの素敵なお二人と触れ合う機会がありました。
お1人目は、15歳程年上の友人の、お父様。齢92歳。
名古屋にあるお住まいのすぐそばの、食事が美味な居酒屋さんにて、
先日初めてご対面。
このお店でほぼ毎晩夕飯をされる好々爺は、
お一人暮らしでシャキーンとされた、元新聞記者のダンディーな紳士でした。
ラッキー・ストライク(たばこです)をくゆらせながら、
戦後、当時の内閣の番記者を東京で勤めていた記者時代のエピソードを、
鮮やかに語り聞かせてくれました。
その確かな記憶力はこちらが舌を巻くほどで、頭に映像が流れるかのような語り口。
帰り道は、二本足でしっかり大地を踏まえ、
道端の夜桜をあおぎ愛でている姿が印象的でした。
絵画のようなその場面を見つめていたら、
次の瞬間、高らかに歌を口ずさみながら大闊歩して、夜道を去って行かれました。
あっぱれ。
父娘のお互いを尊重し合う間柄にも心が和みました。
 
お2人目は、先日、当AHIにて会報発送作業のボランティアに来てくださったSさん。
Sさんも、同じ齢92歳、とのこと。
当日のお手伝いボランティアさんはSさんお一人で、一緒に作業を進めながら、
お喋りに花が咲きました。
シャボンのかおりがSさんのお召し物から立ち上ってきて、
その優しい匂いに癒されて、いい香りですね、とお伝えした流れから、
Sさんはこんなことをお話ししてくれました。
『自分の着るものは、年2回布を購入してきて、全部自分で手作りしてます。
今日のブラウスは30年以上前に作ったもの。
随分ボロになってしまったけれど、まだ、こうして着られるでしょう?』
『こうすれば、無駄なお金を使わずに済むし、その分、献金できるしね。』
ただただ、感心するばかりの私。
ライフスキルがある、とは、きっと彼女のような人を指すんですね。
しっかり歩をすすめ、ご自宅へ徒歩でお帰りになる背中が頼もしかったです。
と、驚いたことに、同日午後、Sさんが封筒を手に再びAHIにお立ち寄りくださいました。
“改修工事がまもなく始まるAHIの足しにしてほしい”、と。
あっぱれ。こんどはただただ頭を垂れるばかりの私。
 
かくありたい齢の重ね方のお手本を、
素敵な92歳のお2人の背中から、
連続で見せて頂いた、スペシャルな週になりました。
職員A