クッションと、山口朝子さんのこと

AHIの玄関には、
いただきものの、テーブルとイスのセットがあります。
 
そこで、病院で検査を終えた方が、休憩がてら、
検査のために抜かした朝食を召し上がっている姿を
よく拝見します。
 
その椅子が、クッションがなく木がむき出しだったのを
会員の山口朝子さんが、ご覧になって
「期待せずに、待っててね」とおっしゃったのが
先週の土曜日の午後でした。
 
それが、二日後の月曜日の朝に、宮脇はつさん(写真右)とお二人で
完成したクッションを二つ、もってきてくださったのです。
 
作ってくださった宮脇さんは、なんと90歳!
元看護師さんで、お連れ合い様も、
ご自宅で看護したとのこと。
曇りのお天気でしたので、写真は少し暗めの仕上がりですが、
目はキラキラ、お肌もつやつやでした。
そんな話をしていた時に、通りかかった女性が
「ええ~、70歳くらいに見えます!」と
ちょっと女子会のような、にぎやかなやりとりが生まれました。
 
山口朝子さんがその広いネットワークの中で、
毎年企業さんからいただいている布を、宮脇さんに渡し、
宮脇さんはその布を使って、袋やバッグなどを作り、
また山口さんがいろんな方にプレゼントをし、
宮脇さんとつないでいるとのこと。
 
今回も、クッションができたという宮脇さんに
「自分でAHIに渡したら」と、
お二人で来館してくださったのです。
 
ずっと以前になりますが、
山口朝子さんは公文の教室をされていました。
そこに通う障害をもつ子どもたちの、経験を増やすためにと、
お友達とご一緒に、たくさんのちらし寿司を作り、
AHIのオープンハウスで、その子どもたちが販売する機会を
作られました。
 
知らない人の中でも、安心してふさわしくふるまう経験を重ねて、
理解のある企業に就職していった子どもたち。
 
山口さんは、今は、生協のお店の一室を借り、毎週月曜日に
そこで、「よりみち」とのぼりを立てて、
皆さんの集う場を作っていらっしゃいます。
 
皆さんで脳トレの体操をしたり、
お茶をしたり。
工業用ミシン二台が、おいてあり、
それで子どものリュックやバッグを作ろうと
がんばる若いお母さんがいます。
その子どもたちと遊ぶ、お年寄りがいるし、
お母さんに、リュックの作り方をアドバイスする人もいます。
 
そんな、誰もが楽しい時間を過ごせる場を
山口さんは作っていらっしゃいます。
クルマの荷台一杯に積まれた、ミシンや布やあれこれを
ご夫婦で積み下ろしされ、その場を作るために
かけていらっしゃる労力も思いも、半端ではありません。
 
中学を不登校していた私の息子も、山口さんに声をかけていただいて、
よりみちに何度か通い、大勢の方に見守られながら、
本人が「かっこいい」と思える布で、ティッシュカバーや
お弁当袋を作りました。
息子は、その袋にお弁当を入れ、今は元気に高校に通っています。
 
職員はさだ