バングラデシュ元研修生を訪ねて その2


前回(4月25日)紹介した元研修生、ビンドゥさんに引き続き、
今日は、2000年国際研修参加者のサイドゥルさんについて、
一筆。

 
 
 
 
 
 
 
サイドゥルさんは、地域開発・障がい分野のワーカーとして、
バングラデシュでは実は名の知られた方だと今回の訪問で知りました。
彼自身が、全盲の障がいの当事者であり、開発ワーカーです。

 
 
 
 
 
 
 
彼が設立し代表を務めるBERDO
(Blind Education and Rehabilitation Development Organization)。
首都ダッカにあるヘッドオフィスは、BERDOが所有するビルで、
バングラデシュではほとんど目にすることのない点字ブロックが
入口から館内すべてに張り巡らされていました。

 
 
 
 
 
 
 
 
サイドゥルさんはBERDO代表者以外にも、
バングラデシュの障がい分野ネットワーク代表や、
JICA研修の元研修員バングラデシュ代表も担っていて、
幅広い人脈があり、ダッカ大学卒のとても優秀な人です。
にもかかわらず、こちらが全く気負うことなく会話を楽しめる、
なんともお茶目な人。
共にBERDOで働き支え合う妻のマクーダさんとの息もぴったりで、
互いへの信頼のもと築いてきたBERDOに誇りを持ち、
共に歩んでいることが伝わってきました。
 
BERDOのオフィスビル内には寄宿学校が併設され、
視覚障がいをもつ男子生徒32名が生活を共にして、
学び合う環境が整っていました。
その他にも;
オーディオブックの録音スタジオ、
コンピュータ訓練所
点字書籍制作所
点字本図書館
が設置され、
古い建物ながら、1991年に設立された老舗のNGOの風格が漂っていました。
子どもたちが点字の教科書を読み合わせる、
元気で力がこもった声が館内に響き、思わず笑みがこぼれました。

 
 
 
 
 
 
 
サイドゥルさんは、
『自分はきっすいの開発ワーカーなんだ。
団体を作り、始めることは簡単。
でも、続けていくことがなにより大切で、かつ大変なことなんだ』
と話していました。
政府や国内外への働きかけを熱心に続け、
他のNGOや住民組織と連携しながら、
サイドゥルさんはバングラデシュの障がい者たちの
人権を少しずつ確保してきました。
 
着実に歩んできた道のりが、
サイドゥルさんをさらにやさしく強くするのでしょうか。
どの国でも、強い精神と意志を持った人は
やわらかく優しい表情を湛えているものですね。
 
サイドゥルさんは、最後に、
私の名前とAsian Health Instituteを、目の前で、
点字で鮮やかに打って手渡してくれました。

大切にしています。
職員A